西日本豪雨のこと

西日本豪雨のこと

やはり、このことについて書かないわけにはいきません。7月上旬に西日本を襲った豪雨のこと…。

 

京都では7月6日の金曜日、強い雨が降り続いておりました。仕事の合間に見るテレビからは、尋常でない雨であることが伝えられています。嵐山を流れる桂川、街中を流れる鴨川。増水の様子が映し出されます。

 

寺町界隈も早じまいされるお店があったようですが、閉店間際のご予約が入っていたこともあり、通常通り6時まで営業することにしました。そんな大雨のなかでも「開いててよかった」と駆け込まれるお客様もあり、ありがたいやら、申し訳ないやら。

 

地下鉄で帰宅すると、京都中いたるところに出されている避難勧告の知らせが、テレビのテロップで流れます。自宅は該当しませんでしたが、すぐ隣の学区にまで及び、これまで経験したことのない恐怖を覚えました。

 

身の危険と共に案じられたのは、やはり仕事のこと。道路の寸断や交通網の乱れは、たちまち物流を止めてしまいます。折しもお中元のさなか。この先、発送予定の荷物は届けられるだろうか。昨年の台風の影響で、不漁と価格高騰が続くちりめんじゃこに、さらなる打撃はないだろうか。

 

不安だらけの一夜でしたが、明けてみると、京都市内では幸いに大きな被害は出なかったようです。一方で、京都府北部や他府県での広範囲にわたる被害の甚大さには、言葉を失ってしまいました。

 

当然のことながら物流にも影響が。なかでもクール便は許容量が限られるのでしょう。クロネコヤマトさんのホームページでは、受け付け停止地域が刻々と更新されていきます。

 

ふだん当たり前に思っていることが、なんと有り難いことか。先が案じられましたが、翌日にはずいぶん復旧しました。物流に関わる皆さんの努力の賜物でしょう。安堵と感謝で、集荷に来られたクロネコさんのお顔を見るなり、思わず抱きついて泣いてしまいました。その日の担当は女性でしたので。念のため(笑)。

 

その後も、報じられるのは広がり続ける被害の状況。自然の恐ろしさを痛感するとともに、これが首都圏近くであったなら、政府の対応は、マスコミの取り上げ方は、同じものだっただろうか。悔しさもこみ上げます。

 

お恥ずかしいことですが、店を始めるまでは、遠くで起こることは、あくまで遠くの出来事。自分とは縁遠いことと感じていたように思います。店を始めて、決してそうではないことを知りました。

 

四国や九州の漁場で獲れるちりめんじゃこ。奈良県吉野の実山椒。北海道利尻の昆布。大分の原木椎茸…。「しののめ寺町」は、京都から遥かに離れた場所の自然の恵みをいただいて成り立っています。

 

箱やビニール袋などの包装資材は、どこのどんな原料で作られているのか把握していませんが、値上げのお知らせの折に、思いもかけない国の影響を受けているのだと知ることがあります。

 

そうした物たちが、網の目につながる空路や陸路に乗って運ばれます。遠い場所の悪天候やアクシデントにも、無関心ではいられません。

 

そして…「しののめ寺町」をご愛顧くださっているお客様は全国に。なかには外国にお住いの方も。台風や地震、テロ…。ニュースで聞く県名や国名に、あの方、この方、お顔が浮かびます。

 

あらゆることが、直接に間接につながり合って、私たちの日々の暮らしが成り立っているんだなぁ。たとえ店をやっていなくても、この世の中で起こることで、自分とまったく無縁のことなど、ひとつもないんじゃないか。そう思うようになりました。

 

そう思うあまり、様々なニュースを見聞きするたびに、過敏に反応して疲れてしまう、ということも。今回も、被災地の映像を見ていると、自分自身の抱える不安と相まって、さらに不安が増幅していくよう。見るに堪えず、チャネルを変えることが増えていきました。

 

大阪を震源とする地震に驚いたのも束の間、西日本での豪雨、続く猛暑。前例のない動きを見せる台風…。日本は、地球は、どこに向かおうとしているのか。想像を超えた事態の連続に、夏バテだけではない疲れを感じています。

 

上の写真は、7月17日の鴨川です。京都はちょうど祇園祭のさなか。朝には山鉾巡行が行われ、夜には御神輿が市中を駆け巡った日。その勇壮な御神輿を見たあとの、四条大橋からの眺めです。

 

あんなに増水していた川も、すっかりいつもの表情に戻り、風物詩の一つである、等間隔で座るカップルの姿も健在です。あぁ、鴨川はこうでなくっちゃあ。見慣れたはずの光景が、あまりに美しく、思わずカメラにおさめました次第です。

 

被災地の様変わりした映像を思い出すと、申し訳ない思いもあります。が、今、自分の目の前にあるものに感謝して。今、自分の目の前にある困難に向き合って。まずは自分の「今」を生きること。それが一番大切なんじゃないか。

 

私は、私の、今日を、しっかり生きよう。

 

犠牲になられた方々のご冥福と、被災された皆様の一刻も早い復旧を祈りながら、そんなことを思った夜でした。

 

早くから暑かった今年。まだまだ夏は続きます。不安は拭いされませんが、まずは健康に留意して、一日一日を過ごしていきたいと思います。皆様もどうぞご自愛ください。 

 

 

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