ひろみちゃん

ひろみちゃん

私の名前は木村ひろみです。

 

このブログ、「にわか女将の走り書き」と名付けています。自ら「女将」と名乗るなどおこがましいのですが、誰が書いているのか明らかにするために洒落でつけたものです。たまに「女将」と呼ばないといけないと思われる方があるようで、申し訳ないことです。

 

これまできちんと名乗りもせず失礼しました。

改めまして、木村ひろみです! 

 

古くからの友人などからは「ひろみちゃん」と呼ばれることが多いです。結婚後に知り合った方からは「木村さんの奥さん」、あるいは「『しののめさん』のお嫁さん」、子供が生まれてからは「○○ちゃんのおかあさん」…。

 

近頃は結婚してからも仕事上では旧姓を通す女性も多いとか。逆に離婚後も子供さんに配慮して旧姓に戻らない女性も。女性の名前は置かれた状況に左右されがちです。

 

起業後、様々な方と知り合うようになり、「しののめ寺町さん」と呼ばれる機会も増えました。そんななか「ひろみちゃん」と呼んでくださる方が一人あります。私より少し年下の男性です。

 

初めて呼ばれた時、とても新鮮で、すっこーん、と心に響いたのを覚えています。「私の中の女の子」が、そうそう、私、ひろみちゃん! って叫んだような。

 

女性はいくつになっても、ちゃん付けで呼ばれるとうれしいもの。失礼のない限り、ちゃん付けで呼ぶといいよ…。その男性、知人の年上の女性からそうアドバイスされたそうです。以来、実践しているとのこと。

 

その女性の指摘は全くもって的確で、それを男性に伝えられるって、とても素敵なことだなぁと思います。男性は男性で、アドバイスを素直に聞き入れ、照れずに実践しているところが、また素敵です。

 

私もうれしい気持ちを彼に伝えました。これからもずっと「ひろみちゃん」と呼んでくれるとのこと。おばあさんになっても、変わらずに呼んでほしいと思っています。

 

ちゃん付けではありませんが、起業している女性からは「ひろみさん」と、やはりファーストネームで呼ばれることが多いです。自分が一人の人間として認知されたような、それでいて力まずに自然体でいられるような、そんな心地よさを感じています。その心地よさを、起業女子の皆さんはご存知なのでしょう。

 

私も女性の方には、ファーストネームで呼ぶよう心掛けています。すると、その女性がさらに魅力的に見えてくるから不思議です。お互い、余計な「背負い物」を降ろして、素で向き合えるのでしょうか。そして、たちまち親しい関係になれるような。

 

Every child has a beautiful name!

 

呼びかける名前は呪文の言葉…、くらい大切かも、です。 

 

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もらい泣き

もらい泣き

お客様と出来るだけお話をするよう心がけています。

「ご旅行中ですか?」

「お住まいはお近くですか?」

ちょっとお声かけするだけですが、それが糸口になって、会話が弾むことがしばしばです。

 

観光中の見どころやご家族のこと、ときにその方の人生に深く入り込んだお話になることがあります。京都に、あるいはうちの商品にまつわるドラマチックなお話をされる場合もあり、思わず聞き入ってしまいます。なかには話しているうちに感極まって涙を流されることも。

 

私の想像もつかない華やかな世界だったり、あるいは過酷な経験だったり。内容は様々ですが、どんな人生にも普遍的なものがあるのでしょう、なにか身につまされるものを感じ、私までもらい泣きしてしまい「ティッシュ、ティッシュ」ということも。

 

京都に佃煮屋は数あれど、店先でお客様と店の者が涙ふきふき話し込んでいる、なんて店は珍しいのではないでしょうか(笑)。

 

開店から一年半が経ちました。ご結婚の引き出物に使っていただいたお客様が、幸せそうなお顔を見せてくださったり。粗供養に使っていただいたお客様が、一周忌にとまた来てくださったり。去年喜ばれたからと、敬老の日の贈り物に同封する小さなお子さんの書かれた絵を持参されたり…。

 

つくづく店というのはただ商品とお金の授受をするだけの場所ではないんだなぁと実感するこのごろです。商品を買うとともに、お客様は「なにか」を求めて来られているんだと。それがなになのか。少しずつわかってきたような、まだまだわからないような。

 

誰しも、うれしい時、悲しい時があるものです。なんのお役に立つわけではありませんが、どんな時でも、ふらりと立ち寄っていただけるような、そんな店であれたらいいなと思います。

 

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かもめ食堂

かもめ食堂

店を始める前はよく映画館に行きました。大スクリーンで超大作、というよりは、小さな映画館で上映される作品を好んで観ていました。なかでも荻上直子監督の「かもめ食堂」は大好きな作品です。

 

小林聡美さん演じるサチエが、フィンランドで日本食の食堂を始めるお話。どこまでが小林聡美さんの素で、どこからがヒロインのサチエなのか判別つかないくらい自然な演技で、つい惹き込まれ、随所で笑ってしまいます。映画館に二度足を運んだのも、DVDを買ったのも、この作品が初めてです。

 

サチエは華やかではないけれど、透明感のある可愛らしい女性です。オープンキッチンの店は狭いながら小ざっぱりとして、磨き上げたステンレスのお鍋やお洒落な北欧雑貨など、いたる所にセンスが光ります。そこに立つサチエが店に似合うこと似合うこと。料理をする立ち姿、コーヒーを淹れる所作、日常のなんでもない様が、とても美しいんです。

 

当時「ほぼ専業主婦」だった私は、こんな風に家事をこなせたらいいなと、いつもお手本に思ってきました。現実はなかなかこうはいきませんでしたが(笑)。

 

買ったDVD、何年も置いたままになっていたのですが、先だっての大雨の定休日、やっと観ることが出来ました。店を始めた今観ると、改めて気づく魅力がいっぱいで驚いてしまいました。

 

サチエは美味しそうにものを食べるひとを見るのが好きと、食堂を思いつくも、フィンランドでとは、あまりに無謀な計画です。けれど、べつに日本でなくちゃいけないこともないと、こともなげに言ってのけるおおらかさ。自分に似合わないことはしない。似合うことはちゃんとやる。シンプルながら固い信念はブレることなく、それでいてちっとも力が入っていない。

 

閑古鳥の鳴いていた食堂に、少しずつ人が集まるようになり、やがて満席に。食事する客の皆が幸せそうで、客席を見渡すサチエが輪をかけて幸せそう。ビジネス的にいうとサチエの計画は成功ということでしょうが、もうそんなことを越えちゃっている世界のように思えます。

 

原作の帯に書かれた言葉

 

毎日ふつうで、おいしくて、

小さいけれど堂々としていました。

 

これや! って思いました。

 

 

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