主婦が旅をするということ

主婦が旅をするということ

ここ寺町通りは、最近、静かな観光スポットとして人気のよう。「しののめ寺町」にも毎日、全国各地から旅行で来られたお客様が立ち寄ってくださいます。

 

熟年ご夫婦、ご家族連れ、若いカップル…。皆さん、楽しそうですが、とりわけ楽しそうなのが主婦の方らしきグループ旅行の皆さん。年に何回も、という旅慣れた方もおられますが、やっと来られた、という方も。そうしたお客様の楽しそうな様子は格別です。

 

お一人がなにか言ったといっては皆で笑い、お一人がなにかしたといっては皆でまた笑い…。若い女の子のことを、箸がこけてもおかしい年頃、なんて言いますが、まさにそんな感じです。私が言うのもなんですが、女性ってかわいいものだなぁと思います。(笑)

 

私も主婦の身、手に取るようにわかります。帰宅時間を気にすることも、今晩の献立を考えることも必要ない。ただそれだけのことが、どんなに大きな解放感か。そんな貴重な時間を、気の置けない友達と過ごせることが、どんなに大きな喜びか。

 

皆さんの楽しそうな様子を見ていると、人恋しくなって、私も友達を誘って旅行に行きたいなぁ、なんて思います。すると急に泣きたくなったりして…。私は私で、いくつになっても多感なお年頃です。(笑)

 

なかでも印象深いのは、今年の桜の頃にお見えになった妙齢のお二人連れ。伺うと、福島から夜行バスで今朝、京都に着かれ、今夜にはまた夜行バスで帰られるとのこと。ニュースでよく耳にする地域の方でした。

 

早朝から清水寺などを回られ、夕方うちに来られた時には、さすがにお疲れの様子。椅子に腰かけてほっこりされながら、先々での出来事をうれしそうに話してくださいました。強行スケジュール、大変ではあったでしょうが、思い切らなければ味わえなかった経験をたくさんされたご様子でした。

 

「京都ではおかずとご飯が一緒に出ないんですね」と、お昼に召し上がった京料理のスタイルをとても珍しがられていました。うちの薄味に炊いた塩昆布を気に入ってくださり、「帰ったら、食事の最後にご飯と一緒に出そうと思って、京都風にね」とお買い上げ。「家族はびっくりするでしょうね」と悪戯っぽく笑われていました。

 

家事は賽の河原で石を積むようなもの、なんて文章を読んだことがあります。家事にはキリもなければ終わりもなく、主婦が家事から解放されるには、物理的に家から離れるしかありません。主婦にとっての旅は、どこかへ行く楽しさとともに、家から離れる気楽さでもあります。

 

そんな主婦の旅も、最後には家族のためにお土産を買い、食卓に思いを馳せられる。あぁ愛おしきかな、主婦…。皆さん、お幸せなんだなぁと思いながら、いつもお見送りする私であります。

 

旅好きな私も、開店以来すっかりご無沙汰です。写真のスーツケースも今では店への通勤かばんとなり、行きは店での昼食を詰めて、帰りはスーパーで買った食材を詰めての往復です。(笑)

 

そろそろ一度「ひろみちゃん」に戻れる時間を作ってあげなければ、箸がこけたと言っては友達と笑い合う女の子に戻してあげなければ、そんなことを思うこのごろです。