この道を 通る日いつも 豆腐買う

うちにご来店くださるお客様の半数近くは他府県の方でしょうか。観光の方がほとんどですが、なかには京都の病院に通っているという方が時々いらっしゃいます。

 

近郊から月に一度通院しているという方、遠方のため京都に部屋を借りているという方、なかには入院中で外出許可をもらってきたという方も。

ご本人は食事制限があり食べられないけれど、家族にと言って、じゃこ山椒を求められる姿に、かける言葉が見つかりません。

 

今はもう亡くなった私の実母は、長年、入院生活を送っていて、私は一人、慣れない運転で面会に通いました。

私が娘であることをとうに忘れた母に会うのは気の思いことでしたが、途中に美味しい豆腐屋さんがあり、帰りに買って帰るのがせめてもの慰めでした。夏には冷奴、冬には湯豆腐にして食べた豆腐は、美味しくも切ない味でした。

「おいしい、おいしい」

と、ことさら声に出して食べていたように思います。

 

病気は本人にとっても家族にとっても辛いものですが、そんななかでも人はちょっとした隙間に楽しみを見つけられるものなんですね。

 

この道を  通る日いつも  豆腐買う

 

思いのままを五七五にして新聞の川柳に投稿したところ、佳作に選ばれた、なんてことも。ビギナーズラック、ってやつです。

 

決して楽しくはない病院通い、それでも皆さん、なにかしら楽しみを見つけられている様子がうかがえます。

 

写真は近くのスーパーの軒先で見つけたツバメの雛。たくましい生命力、あやかりたいものです。